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藤井聡からのおしらせAD2014.04.15(TUE)

掲載者PbdPの判断で字句、句読の一部は校正してあります悪しからず(~~)

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From 藤井聡@京都大学大学院教授

 

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過日(4月10日)発売されました、VOICE5月号に、

 

 『ついに暴かれたエコノミストの「虚偽」』

 

というタイトルの拙稿が掲載されました。

 

 (その1)http://shuchi.php.co.jp/article/1877

 (その2-1)http://shuchi.php.co.jp/article/1878?

 (その2-2)http://shuchi.php.co.jp/article/1878?p=1

 

(※ なお、このタイトルは、当方が付与したのではなく、VOICE編集部が、編集部の編集権にて、付与したものです)

 

この原稿では、

 

『浜田氏、岩田氏、原田氏というリフレ派の代表敵論客が、「リフレが日本経済を救う」という(彼等が共同編集した書籍タイトルに込めた)メッセージを「正当化」するために活用してきたデータや理論の中に、「科学的妥当性」が存在していないものが含まれている「疑義」が──かのSTAP細胞の論文問題のように──存在している』

 

と言う事を告発するものです。その上で、

 

『本稿で取り上げた三氏(あるいは三氏を擁護する論者の皆様方)からは、筆者が指摘した上記の各種疑念に対する「理性的な者ならば誰もが納得しうるご説明」を(それが可能である限りにおいて)是非ともお伺いしたい』

 

と呼びかけております。

 

この原稿は、VOICE誌編集部のご好意で、VOICE発売と同時に、上述の様に、全ての原稿がインターネット公開されております(さらに、Niftyニュースにもなりました)。 http://news.nifty.com/cs/magazine/detail/voice-20140410-0000000176/1.htm

 

なお、この三氏には、当方から4月10日付けで、本稿出版のご報告と、是非とも、ご意見、ご批判頂きたい、という旨の書状を速達でお送りいたしております。

 

あれから、本稿執筆時点までまだ6日ということもあり、未だ、十分な「理性的な者ならば誰もが納得しうるご説明」は、私の手元には、届いておりません。ゆっくりお待ちしたいと思います。

 

とはいえ、インターネット上では、いくつか、当方の原稿についての反論らしきものが掲載されております。しかし、それらはいずれも、当方の原稿の趣旨を取り違えているものであり、当方が広く公衆に呼びかけた「理性的な者ならば誰もが納得しうる(三氏を弁護する)ご説明」は、少なくとも当方が認識する範囲では皆無であります。

 

ここでは、現時点までで、当方に(周りの方からの報告も含めて)どの様な反論があったかをご紹介し、それが如何に反論になっていないという事を、簡潔にご説明したいと思います。

 

(1)藤井が「公債発行額と関係がない」と主張している金利は「名目」であって「実質」ではない。

 

 ⇒きちんと読んでからご反論ください。

 

 図1には「実質」金利もあわせて掲載し、その相関がない旨を「明記」しています。

 

(2)藤井は、「マネタリーベース(MB)がデフレータ等と相関していない」といっているが、リフレの理論では、MBの「変化率」がデフレータ等に影響を与えるというものだ。藤井はリフレの理論を理解していない。

 

 ⇒だから、きちんと読んでからご反論ください!

 

そもそもMB変化率ではなくてMBと期待インフレ率のグラフを最初につくって「両者に相関がある」と主張したのは藤井では「なく」て「岩田先生」です。そして、MB変化率で無くてMBとGDPとのグラフを最初につくって「両者に相関がある」と主張したのも、やはり、藤井では無くて「原田先生」です。

 

したがって、こういうご批判をされる方が正しいとすると、リフレ派の理論を理解していないのは、原田先生や岩田先生だということになってしまいますので、結局、岩田氏・原田氏を「弁護」するどころか、逆に岩田氏・原田氏を「追い込んで」いることになると言えるでしょう。

 

(※ ちなみに、MB変化「率」を用いても[かつ、1年、2年のラグを考慮しても]デフレータ、名目GDPには、相関が見られないことは、拙稿の図5を見れば「明々白々」です!。

 

なぜなら、図5に示しているように、90年以降、MBはあがったり下がったりしてるのに、デフレータはまるっきり「不感症」で、一貫して、下がり続けてるんですから、ラグ取ったり、変化率取ったりしても、相関なんてみられるわきゃないですよね(笑)

 

でもまぁ、一応相関係数を計算しますと、やっぱりぜんっぜん、プラスの相関は見られませんでした。繰り返しますが(図5からすれば)当然の結果です。

 

さらにさらに、上記に加えて、

 

MB増加率、MB増加率(前年)、MB増加率(前々年)、MBそのもの

 

の4つと、

 

「CPI」「コアCPI」「コアコアCPI」「CPIの変化率」「コアCPIの変化率」「コアコアCPIの変化率」「名目GDP変化率」「デフレータ変化率」

 

の全ての相関係数を(1990年以降、と1998年以降の双方において)求めましたが、「5%有意のプラスの相関」が見られたペアは、一つもありませんでした(詳しくは、下記の表とコメントをご覧ください)

https://www.facebook.com/photo.php?fbid=501160396651575&set=a.236228089811475.38834.100002728571669&type=1&stream_ref=10

 

なおこれらの結果って、図5からもほぼ予期できる結果です。グラフには変化率情報も含まれていますし、CPIとデフレータは同じようなもの(統計的に言えば相関が高い)だからです。

 

なお、これらの結果は、MBがこれらの変数に及ぼす因果関係を反証するものでは「ありません」。が、「MBだけ」では、これらの変数を説明することが「出来ない」「可能性」を「強く示す」ものです。

 

もしそれをご同意いただけるなら、それこそが、当方が主張したいことなのです!だからこそ、金融政策「だけ」でいいのだと言う極端な言説や、金融政策「だけ」を「ことさら強調」する経済政策は、排除されるべきなのです。さもないと、巨大な国益毀損がもたらされる、と当方は考えています。

 

(3)藤井は、「リフレ派は財政出動を否定している!」って言うけど、リフレ派は否定なんかしていない!

 

 ⇒だから.....きちんと読んでからご反論ください!!

 

拙稿で指摘しているように、原田氏は、「『1990年以降政府支出の増大で景気刺激策を行ってきたとき』には,MFモデルの影響で,公共事業による効果は『ほとんどなかった』と断言している.」のです。

 

ちなみに、その原稿のタイトルは、「公共事業がもつ景気抑制効果 第二の矢の再考を」だったんです。タイトルはもろ、財政政策を「否定」するものです。当方は、その原田氏のご主張を反証しているに過ぎません。

 

また、拙稿で指摘しているように、浜田氏は、MF理論が日本において成立していると主張しています。そして、MF理論は、財出による景気高揚効果の存在を否定する理論ですから、MF理論を持ち出した時点で、財出効果を否定する、あるいは少なくともそれを少なく見積もるべきだと主張していることになります。

 

だからこそ、当方は、日本においてMF理論が成立するかどうかという「一点」に的を絞って、浜田氏の言説を反証しているのです。

 

・・・

 

最後に、「リフレ派批判などやっている暇があったら、国土強靱化に真面目に取り組むべき」というご意見もございました。

 

が、当方は、このリフレ派批判は、国土強靱化の推進にとっても、極めて重大な意味があると確信しています。

 

なぜなら、デフレ脱却が叶えば、政府は税収が増え、そして、民間の収益・所得も上がる、そうなると、より一層、官民あわせた国土強靱化が大きく進められることになるのは明白です(無論、国土強靱化は、デフレであろうがなかろうが推進す「べき」であることは間違いありませんが、現状の諸々の状況を鑑みるに、デフレ脱却がその実質的推進において大きく貢献することは誰も否定できないと思います)。

 

・・・・

 

なお、「リフレ派」と呼ばれる皆様方は、ある時までは、デフレ脱却のためには、国益にとって極めて重要な勢力であったと考えます。

 

思い出してください。

 

かつては、「デフレ脱却なんていらないよ」という意見が趨勢をしめていたのです。そんなステージにおいては「デフレ脱却は可能である!」という主張をされるリフレ派の方々は、極めて貴重な勢力であったと言えるでしょう。

 

しかし、今や、日本国政府が、「デフレ脱却」を重要目的に掲げ、様々な取り組みを進めようとしているのです。

 

改めて申し上げるまでも無く、これは極めて画期的なことだと思います。その意味において、リフレ派の皆さんは、日本国のデフレ脱却に向けて、つまり、国益増進にむけて極めて重要な仕事をされたのだと、心から感謝しています。

 

......しかし!

 

今やもう、文字通り、正真正銘に「ステージ」は、既に変わっているのです(笑)。

 

デフレが脱却できるかどうか、が問題なのではなく、「いかにしてデフレ脱却が叶うのか」という一点こそが、重要となっているのです。

 

それを見誤れば、日本はデフレ脱却ができず、国益が大きく毀損します。

 

だから、日本国家のこれからの歴史全体を見据えた場合、国内において『巨大な影響力』をお持ちの、浜田氏、岩田氏、原田氏の『「金融政策を重視し、財政政策を軽視する」という経済学的態度が、デフレ脱却の巨大な障害となっている可能性』は、国益の視点から、国民の安寧と幸福の視点から、絶対に見過ごしてはならないと、当方は、考えている次第です。

 

。。。。

 

いずれにしても、『本稿で取り上げた三氏(あるいは三氏を擁護する論者の皆様方)からは、筆者が指摘した上記の各種疑念に対する「理性的な者ならば誰もが納得しうるご説明」を(それが可能である限りにおいて)是非ともお伺いしたい』と考えております。

 

ただし!

 

既に上記でお答えした内容で事足りるものや、あるいはそれ以前に、やはり「しっかりと読んでいない方」からの反論等については、対応を控えさせて頂きます。

 

ですので、以後、ご批判頂く場合は、

 

「とにかく しっかりと、当方の原稿の文章をよく読んでから」

 

お願いしますね(笑)。

 

では、また来週!

 

 

PS

なぜ、韓国はグローバル経済の植民地になのか?

https://www.youtube.com/watch?v=ZK5RY5rIGs8

 

 

<藤井聡からのおしらせ>

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